真珠湾奇襲攻撃 3〜山本五十六の熱意〜|太平洋戦争

前回は「真珠湾奇襲攻撃 2〜山本五十六の覚悟〜」でした。

山本五十六連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

しびれを切らして、遂に「奥の手=禁じ手」に踏み切った山本五十六。

当時の日本海軍において、山本五十六の存在は、群を抜いていました。

海軍省にいた頃は海軍次官として、米国や英国を様々な交渉を行いました。

海外にも名を馳せていました山本はいわば「日本海軍のシンボル」だったと言えます。

私が「ザ・海軍」なのだ。

対外的にも「日本が米国に戦争を仕掛ける」ならば、指揮官は山本五十六以外には「あり得ない状況」でした。

軍略や戦略において、山本五十六を超える人物は、当時日本海軍にいました。

ただし、最強国・米国との戦争を行う連合艦隊司令長官は「海軍の顔」である必要があります。

そして「海軍の顔」として、海軍を統括できるのは山本しかいません。

私以外に、連合艦隊司令長官が務まるのか?

その山本に連合艦隊司令長官を辞任されては、米軍とはとても戦えません。

1934年のロンドン軍縮条約に海軍首席代表として出席する山本五十六(Wilipedia)

「実際にハワイ奇襲攻撃を実施する」南雲機動部隊の草鹿龍之介参謀長。

草鹿龍之介第一航空艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

こんな作戦は無茶だ!

山本五十六長官に直接会って、作戦実施を断ろう!

草鹿くん。
ハワイ奇襲攻撃は私の悲願だ。

なんとか協力してくれ。

はあ。

草鹿にとって、上司であり、学生時代(海軍兵学校)の大先輩である山本五十六司令長官。

山本長官に懇願されて断りきれず、消極的賛成に回ります。

軍令部次長として、海軍全体の作戦指示の統括をしていた伊藤整一は困り果てます。

伊藤整一軍令部次長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

本来、事実上の最高意思決定者の次長である自分が却下すれば廃案になる作戦計画ですが、山本長官は折れません。

また、伊藤次長にとっても山本長官は、海軍兵学校の先輩です。

こういう時、「先輩後輩」の関係は多少なりとも影響します。

山本長官ならぬ「山本先輩」が絶対折れないため、伊藤は考えます。

山本さんが、全然私の言うことを聞かない。

ならば、大先輩に却下してもらうしかない・・・

海軍兵学校の先輩・後輩は、その後の出世にも大きく影響していました。

永野軍令部総長に、山本長官の「辞職宣言」を伝えます。

永野さんに「真珠湾奇襲攻撃は絶対ダメだ。」と
言ってもらおう

そして山本長官には、真珠湾奇襲攻撃を諦めてもらおう。

大先輩登場です。

永野修身(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

山本長官が、「真珠湾奇襲攻撃を認めないなら、長官を辞任する」と
言っております。

なんだって!

軍令部総長は陸軍では参謀総長にあたり、日本政府の超重鎮です。

永野軍令部総長は、山本の連合艦隊司令長官の前々任者です。

山本を可愛がっていた永野。

永野は、ここで折れてしまいます。

山本が、それほど言うなら、
やらせてみようじゃないか。

えっ?なんで?

永野総長もまた、草鹿参謀長同様に消極的賛成へと転じます。

ボトムアップ式に意思決定されることが多い日本。

異例の総長決断というトップダウンで、真珠湾奇襲攻撃は軍令部を裁可・通過します。

海軍・軍令部の上層部全員が、山本の悲壮な決意・熱意に押し切られてしまい、真珠湾奇襲攻撃案は了承されます。

山本五十六連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

攻撃部隊は主力の第一航空戦隊の空母赤城・加賀。

第一航空艦隊旗艦 空母赤城(Wikipedia)

そして、最新鋭で、航続距離も長い第五航空戦隊の空母翔鶴・瑞鶴が選ばれます。

本来なら、全ての主力空母を引き連れて、
ハワイに殴り込みを掛けたい!


しかし大軍で乗り込めば、米海軍に事前に奇襲攻撃を悟られる可能性が高まります。

軍令部との現実的な話し合いから「攻撃隊主力空母は赤城・加賀・翔鶴・瑞鶴の四隻」と一度は決定しました。

ここで

ちょっと待ったあー!

と割って入る男。

山口多聞第二航空戦隊司令官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

攻撃隊から外された第二航空戦隊の山口多聞司令官でした。

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