宗茂に大友の未来を託した立花道雪〜道雪の目に留まった唯一人の若者高橋宗虎・戦国最強の二人を父に持つ男への継承・道雪と紹運と宗茂〜|立花道雪17・能力・人物像・エピソード

前回は「武雷神立花道雪の武勇を継ぐもの〜立花宗茂への継承・瞬間風速的に「九州最大の勢力」となった龍造寺・沖田畷で「再起不能」の打撃を受けた龍造寺〜」の話でした。

立花道雪(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)
目次

宗茂に大友の未来を託した立花道雪

大友家家臣 立花宗茂(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

大友家が凋落して、風前の灯火となっている状況の中、

もはや
我が生命は・・・

「自分の人生がそれほど長くはない」とわかっている道雪。

宗茂、
宗茂よ・・・

はっ、父上!
宗茂はここに!

あとは、
お前に任せた!

お任せ
ください・・・

大友を、
大友家を頼む・・・

父上・・・
まだお気持ちを確かに・・・

立花道雪の「長男」であった立花宗茂。

大友の運命は
お前にかかっている・・・

はっ・・・
私の生命かけて大友を守ります・・・

実は「本当の長男」ではなく、養子だったのです。

では、宗茂の実の父は誰かと言うと、

大友家重臣 高橋紹運(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

道雪と「大友の武力の両輪」とも言われた高橋紹運だったのです。

道雪の目に留まった唯一人の若者・高橋宗虎

立花道雪長女 立花誾千代(Wikipedia)

どうしても
長男が欲しい!

そもそも名家であり、自他共に認める「大友の柱」であり続けた道雪。

戦国の世にあっては、「後継者」である男子は必須です。

男子が
生まれなかった・・・

一人娘・誾千代は誕生したものの、とうとう男子とは縁がなかった道雪は失意に沈みます。

誾千代は可愛いが、
男子が、男子がなんとしても欲しかった・・・

・・・・・

父上・・・
養子をお取りになっては・・・

まあ、
そうなんだが・・・

「これぞ!」
という奴がおらんのでな・・・

そして、「我が養子を!」と戦いの合間に探していた道雪。

こいつは良い!
ぜひ、我が養子に!

とある若者を大いに気に入った道雪。

私の跡取りは
この男しかいない!

高橋紹運 長男 高橋統虎(立花宗茂)(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

「大友随一の闘神」というよりも「戦国随一の闘神」の最有力候補の一人である立花道雪。

そして、大友家を文字通り「支え続けた」武雷神・道雪。

その道雪が「心の底から惚れ込んだ若者」が、たった一人だけいました。

その若者が次男・三男など、長男ではなければ「婿養子」という選択肢はあります。

ところが、高橋宗虎は、闘将・高橋紹運の長男だったのでした。

宗虎殿は、紹運殿の
長男か・・・

流石に長男では、
紹運殿は手放さないでしょう・・・

ここで、「諦める」のが普通の武将でしたが、武雷神・道雪は普通ではありませんでした。

戦国最強の二人を父に持つ男への継承:道雪と紹運と宗茂

新歴史紀行
立花家と高橋家:左上から時計回りに立花道雪、高橋紹運、立花宗虎(高橋統虎)(歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研)

道雪は紹運が激怒することを承知で、「長子・高橋統虎を我が養子に」と望みました。

紹運殿、
統虎殿をぜひ我が養子に!

この道雪の要望には、紹運は驚きを超えて、激怒しました。

はっ?
なんですと?

なんといっても、統虎は紹運の「長男」であり「大事な高橋家の後継」です。

道雪殿・・・
ご存じかと思うが・・・

統虎は我が長男!
あなたと言えど、絶対に渡せません!

そこを
なんとか!

くどい!
何言ってんだ!

元々仲良しだった道雪と紹運の関係。

この関係に「大きなヒビ」が入ったのでした。

なんとか!
大友家のために!

最後には、殺し文句の「大友家のために!」で紹運も折れました。

「大友家のため」
か・・・

我らが大友ため・・・
分かりました・・・

他の家ならば、
絶対に・・・

私の生命に変えても
宗虎を養子になど出さぬが・・・

他ならぬ
あなただ・・・

・・・・・

ここで高橋紹運は、しばし瞑目します。

統虎を
立花家に出しましょう・・・

こうして、1581年に高橋統虎は、立花統虎となったのでした。

統虎よ、
わが立花家を頼む!

父上。
承知致しました。

こうして、戦国最強の実父と義父を持つ武将・立花統虎が誕生しました。

1582年頃の九州勢力図(歴史人2020年11月号 KKベストセラーズ)

高橋統虎が立花統虎となり、立花家に入った1581年。

まだ、龍造寺隆信がブイブイの勢いであり、道雪としては、

いずれ、
龍造寺と島津と決着をつける!

という気持ちだったのです。

それが、突然に龍造寺隆信がこの世から消えてしまいました。

そして、龍造寺家の勢力が大きく減少するという「想定外」の事態となりました。

まさか・・・
こんなはずが・・・

龍造寺と島津と
それぞれ戦うつもりだったが・・・

龍造寺が島津に完敗し、
島津が龍造寺を取り込んだ・・・

もはや、
大友もいかぬのか・・・

「まさか」の事態が続き、暗澹たる気持ちなった道雪でした。

新歴史紀行

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