飛び抜けた政治力を行使した勝海舟〜「幕府の外」を軸にした勝・「一気に飛躍するハッタリ屋」勝の力の根源・多数いた幕臣の俊才たち・西洋科学を理解した榎本武揚〜|勝海舟4・人物・エピソード

前回は「勝海舟の凄みの背景「蘭学の学び」〜ヅーフハルマ二冊筆写の根性・「下っ端旗本」だった勝麟太郎・旗本と御家人のランク〜」の話でした。

勝海舟(麟太郎)(Wikipedia)
目次

「一気に飛躍するハッタリ屋」勝の力の根源

左上から時計回りに勝海舟、西郷隆盛、坂本龍馬、徳川慶喜(Wikipedia)

薩長を中心とした勢力が、徳川幕府を討幕(倒幕)した明治維新。

後世から見れば、「徳川の時代は賞味期限切れだった」ようにも感じられ、「自然の流れ」にも見えます。

一方で、当時、実際に「徳川の時代」を生きている人たちから見れば「驚天動地の事態」でした。

勝海舟

なあに・・・
維新のことはな・・・

勝海舟

おいらと西郷とで
全部やったのさ!

見方によっては「虚言癖のある人物」である勝海舟は、このように話しています。

つまり、幕府側の人間でありながら、「討幕の立役者の一人」であったことを明言した勝。

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蘭和辞典ヅーフ・ハルマ(Wikipedia)

当時、最先端であった蘭学を猛勉強し、当時極めて高いレベルの知識と学力を持っていた勝。

勝海舟

自慢ではないが、
私は、なかなか頭は良い方だ・・・

勝海舟

そして、私はハッタリ屋の
面もあるが、努力家だ・・・

「一気に飛躍するハッタリ屋」であった勝の力の根源こそが、若い時の学びでした。

多数いた幕臣の俊才たち:西洋科学を理解した榎本武揚

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幕末の優れた幕臣たち:左上から時計回りに、勝海舟、川路聖謨、榎本武揚、小栗忠順(Wikipedia)

確かに勝は、当時かなり優れた「政治家+官僚」でしたが、徳川幕府には同程度の人物は多数いました。

小栗忠順

我が小栗家は
名門旗本であり、徳川ファーストだ!

榎本武揚

我が榎本家は、
徒目付の家柄で、私は徳川を支える!

川路聖謨

我が川路家は代官の家柄で、
徳川を支えてみせる!

名前生年
川路 聖謨1801年
勝 海舟(麟太郎)1823年
小栗 忠順1827年
榎本 武揚(釜次郎)1836年
幕末の優れた幕臣たちの生年

明らかに勝海舟よりも「家柄・身分が上」の幕臣の中にも、小栗・榎本らの優れた人物がいました。

おそらく、頭の良さや「物事を推進する力」は、

小栗忠順

私は、家柄相応の
頭脳があり・・・

小栗忠順

財政も外交も
推進する自信がある!

勝よりも小栗・川路・榎本の方が遥かに上だったでしょう。

勝海舟

ま、確かに
彼らの頭脳は大したもんだ・・・

勝海舟

川路さんは人物も立派であり、
かなりの頭脳と胆力もある・・・

勝海舟よりも20歳以上年上であり、明らかな「先輩格」であった川路。

川路聖謨

私の目の黒い内には、
徳川に反するものは消してみせる!

川路もまた、「徳川ファースト」の人物でした。

勝海舟

そして、小栗と榎本は
俺よりも頭が良いのは事実だ・・・

そして、育ちの良さが筆頭格だった小栗は、頭脳のキレも筆頭格でした。

勝海舟

釜次郎(榎本)は、最先端の
舎蜜(せいみ)学も分かるからな・・・

勝海舟

西洋の科学技術のことも
分かる釜次郎には敵わんな・・・

舎蜜(せいみ)学とは、現在の化学です。

少し家柄が落ちる榎本釜次郎(武揚)は、若い頃から俊才で知られており、

榎本武揚

とにかく、西洋の科学も
技術も吸収するのだ!

かなり頭脳を持っていた勝海舟でしたが、徳川幕府には勝以外にも「多数の英才」がいました。

飛び抜けた政治力を行使した勝海舟:「幕府の外」を軸にした勝

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日米修好通商条約(Wikipedia)

勝海舟が頭角を表し始めた頃は、日米修好通商条約などで幕府が揺れていました。

頭脳に自信があった勝でしたが、多数の優れた幕臣の中では、埋没しかねない存在でした。

勝海舟

頭脳では、俺よりも
川路さんの方が上かもしれん・・・

勝海舟

小栗や釜次郎(榎本)は、
当代切っての切れ者であり・・・

勝海舟

まっ、俺でも小栗と釜次郎
相手では敵わんな・・・

「屋台骨が傷んでいた」と言われる徳川幕府ですが、強力な幕臣が多数いました。

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長州の志士たち:左上から時計回りに久坂玄瑞、木戸孝允、前原一誠、高杉晋作(国立国会図書館)

桂小五郎(木戸孝允)、高杉晋作、久坂玄瑞、前原一誠などの多数の優れた志士がいた長州。

高杉晋作に関する話を、上記リンクでご紹介しています。

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左上から時計回りに西郷隆盛、大久保利通、村田新八、桐野利秋(Wikipedia)

西郷隆盛と大久保利通が目立ちすぎる存在だった薩摩には、村田新八や桐野利秋もいました。

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土佐藩出身の軍人・政治家:左上から時計回りに、坂本龍馬、中岡慎太郎、後藤象二郎、板垣退助(国立国会図書館、Wikipedia

坂本龍馬と中岡慎太郎が飛び抜けた存在の土佐藩。

実際には、脱藩者だった坂本と中岡の影響力は「かなり限られていた」のが実情でした。

そして、「正統派」の後藤象二郎や板垣退助が、ずば抜けていました。

ここに挙げた人物たちは、少なくとも維新直前までは奮闘し続けた人物です。

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幕末の優れた幕臣たち:左上から時計回りに、勝海舟、松平春嶽、阿部正弘、島津斉彬Wikipedia)

そして、勝海舟が、幕末維新を切り拓く存在となった最大の理由は「視野の広さ」でした。

勝海舟

俺にとって、徳川幕府が
最も大事だが・・・

勝海舟

幕府と諸藩の関係が
時代を切り抜ける鍵だ!

名前生年
島津 斉彬1809
島津 久光1817
阿部 正弘1819
伊達 宗城1818
勝 海舟1823
山内 豊信(容堂)1827
松平 慶永(春嶽)1828
幕末維新期の四賢侯+島津斉彬+阿部正弘の生年

そして、当時の諸藩の優れた大名たちの間で、程よい年頃だったのが勝海舟でした。

「幕府の外」を軸にした勝は、幕末維新の時代を雄飛してゆきます。

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