前回は「揺れる真珠湾奇襲攻撃のゆくえ〜「途中で引き返す」可能性を厳命した山本長官・ハルノート・日本が絶対受け入れられない条件・もはや「待ったなし」の緊迫状況のフィリピン・奮うマッカーサー〜」の話でした。
ハルノートへの日本の対応見つめる米国
日本は「米国からの最後通牒」と受けたとった「ハル・ノート」。
「ハル・ノート」には期限がなかったので、ハル国務長官は交渉の余地は一応残していました。
これに対して、
どう出てくるかは、Japan次第だ!
米国は全ての暗号を傍受・解読して、日本を見つめます。
Japan陸軍は、
Philippineを攻撃してくるだろう・・・
Japanの
海軍はどうか・・・
USの太平洋艦隊の根拠地
Hawaiiに、先制攻撃してくるかもしれん・・・
日本との戦争の準備をしつつも、交渉を続けます。
日本を侮っていたマッカーサー元帥。
米国本土に陸軍兵士や軍需物資の増加を求めるも、それほど強い緊張感はもっていませんでした。
俺がいるんだから、
大丈夫だって!
米国がじっと日本の出方を待ち構えている間に、日本は奇襲攻撃検討の最終段階です。
真珠湾奇襲攻撃のタイミング:奇襲攻撃と宣戦布告
「日米交渉決裂の場合、奇襲攻撃のどのくらい前に米国へ宣戦布告するか」が問題となります。
「奇襲攻撃の成功」もさることながら、山本司令長官はじめ陸海軍軍人が最も危惧していたこと。
それは、
必ず、宣戦布告後の
攻撃とすること!
「宣戦布告後の攻撃」は、山本長官が極めて重視していたことでした。
さらに、根が超真面目な東條英機総理大臣兼陸軍大臣。
奇襲攻撃は良いが、
卑怯者になってはならない!
良いか!
我が帝国軍人は決して卑怯者ではない!
宣戦布告前に奇襲攻撃をしては米国を怒らせるだけではなく、世界中の恥さらしとなります。
山本と奇襲攻撃の人事で揉めた永野軍令部総長。
それはそうだ・・・
「寝首をかく」のは、軍人がすることではない・・・
騙し打ちは
いかんだろう・・・
とにかく、宣戦布告を、
必ず攻撃前に行うように!
対立することが多く、「超険悪な仲」だった日本の陸海軍。
珍しく、陸海軍が足並み揃えて「奇襲攻撃前の宣戦布告」を外務省に強く要請しました。
承知
しました・・・
米国への通達の総責任者である東郷茂徳 外務大臣は、
難しい仕事ですが、
責任持って行います・・・
懸念を抱きながらも、「奇襲攻撃ギリギリの最後通告」業務を引き受けたのでした。
駐米大使で対米交渉の前線責任者であった野村吉三郎 米国大使は、
必ず奇襲攻撃前に、
宣戦布告を行います!
軍部に対して「奇襲攻撃前の宣戦布告」を確約していました。
極めて投機性が強い危険な賭け:図上演習の厳しい結果を無視した山本長官
真珠湾奇襲攻撃が「極めて投機性が強い危険な賭け」の大博打であったこと。
それは、他ならぬ山本司令長官が最も理解していたのでした。
真珠湾奇襲攻撃は、
私の信念であるが・・・
果たして、
本当に上手く行くだろうか。
内心心配する山本司令長官。
事前に図上演習で検討をすると、攻撃前に米軍に見つかってしまう可能性が高かったのです。
図上演習で示唆されたこと。
それは、米軍に大きな打撃を与えるも、日本海軍虎の子の正規空母が2,3隻撃沈される可能性です。
どうしても、
我が空母も2,3隻喪失が見込まれます・・・
・・・・・
特に大型空母である旗艦赤城、あるいは加賀を撃沈されては、大変なことになります。
赤城は
何としても守らねば・・・
日本海軍にとって極めて大きな、取り返しのつかない大打撃となります。
ところが、山本五十六連合艦隊司令長官は強気を押し通して、図上演習の結果を無視します。
図上演習は
机上の論理だ!
とにかく緒戦で、
米海軍を叩くのだ!
強く主張して、真珠湾奇襲作戦案を押し通しました。
実際に、真珠湾に奇襲攻撃に向かう南雲忠一 第一航空艦隊司令長官。
・・・・・
もはや「山本長官に反対する空気」ではない状況です。
海軍の作戦を統括し、真珠湾奇襲攻撃に反対を続けてきた伊藤軍令部次長。
図上演習の結果が、
非常に厳しいが、大丈夫なのか?
今もなお、反対の考えでした。
そして、山本長官の「図上演習の結果を無視」する姿勢に対して、
・・・・・
これには流石に、伊藤軍令部次長も唖然としました。
もはや、海軍に関する事項は「山本長官が全てを決定する空気」となっていた連合艦隊と軍令部。
もともと優等生肌の山本司令長官。
確かに図上演習の
結果は厳しい・・・
出来ることなら、
奇襲攻撃直前の宣戦布告が望ましいのだが・・・
ところが、直前を狙い過ぎて宣戦布告が「奇襲攻撃後」になることは絶対に避けねばなりません。
難しい・・・
どうしたものか・・・
山本長官は悩み続けますが、東條英機首相とは気安く話す間柄ではありません。
海軍が何をやっているのか、
情報が上がってこない・・・
日本政府内で海軍と外務省で、奇襲攻撃と宣戦布告のタイミングの協議が続きます。
その間も、ルーズベルト大統領とハル国務長官は、じっと日本を見つめていました。
Japanは、いつ、
どう出てくるのだ?
現在、Japanの暗号をほぼ解読し、
動きを見張っています・・・
外務省本省と米国日本大使館の間の無電の暗号を、ほぼ全て傍受・解読・翻訳し、
次はJapanは、
どう出てくるのだ・・・
欧州戦線が中心ながらも、ルーズベルトとハルは「日本の動き」を見ていました。
まるで「監視している」かのような視線で。
次回は上記リンクです。