真珠湾奇襲攻撃の肖像〜山本五十六の信念と日独伊三国軍事同盟に猛反対・奇襲攻撃の実施計画推進者・大西瀧治郎と源田実〜|真珠湾奇襲攻撃1・太平洋戦争

前回は「智清将・竹中半兵衛の真髄〜半兵衛のその後の歴史への強い影響・冴える軍略と采配・秀吉の中国攻め・半兵衛の総決算・三木城の采配・最後は陣中で〜」の話でした。

目次

1941年12月8日:真珠湾奇襲攻撃の肖像

真珠湾を攻撃する日本軍(歴史街道2021年12月号 PHP研究所)

80年前の1941年12月8日。

日本(大日本帝国)はハワイ真珠湾へ奇襲攻撃を敢行しました。

日米開戦・太平洋戦争の勃発です。

それまでは、主に中国大陸で戦争を続けていた日本。

米国・英国と戦争が始まり、一気に戦線が拡大しました。

今回は、真珠湾奇襲攻撃の話です。

Adolf Hitler独総統(Wikipedia)

1940年に締結された日独伊三国軍事同盟により、米国との緊張が一気に高まりました。

明治維新の際、急速に近代化した日本陸軍の模範はドイツ・日本海軍の模範は英国でした。

旧日本軍の規範

日本陸軍:ドイツ

日本海軍:英国

陸軍は伝統的に親ドイツであり、ドイツは猛烈な勢いで、1940年当時ヨーロッパを席巻します。

そして、全ヨーロッパを支配下におくかの怒涛の勢いのヒトラー率いるドイツ。

hitler

全Europeを、
我が手に!

もともと「親ドイツ」の日本陸軍は、ドイツとの同盟を強く推進します。

日本陸軍

早くドイツと
軍事同盟を締結すべきだ!

日本陸軍

このままの勢いだと、
欧州は、全てドイツが占領するぞ!

対して、海軍は伝統的に英国を模範としており、ドイツとの同盟に徹底的に反対しました。

日本海軍

ドイツとの
軍事同盟反対!

山本五十六の信念:日独伊三国軍事同盟に猛反対

山本五十六連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

当時、海軍次官であり後に連合艦隊司令長官となる山本五十六。

山本次官は、

山本五十六

ドイツとの軍事同盟は
絶対、断固反対!

「ドイツとの同盟は絶対反対」の姿勢でした。

米国に駐在経験があり、巨大さをよく知っている山本は、常々言っていました。

山本五十六

米国のテキサスの油田、
デトロイトの自動車工場を見てこい!

山本五十六

米国に勝てるはずがない、
と分かるから!

ところが、山本が海軍省から連合艦隊司令長官へ異動となった後、海軍は陸軍に押しきられてしまいました。

日本陸軍

バスに
乗り遅れるな!

「猛烈なドイツと同盟を締結」というバスに「乗り遅れるな」という思想が陸軍を支配していました。

日本海軍

・・・・・

そして、海軍が同意し、日独伊三国軍事同盟締結となります。

「三国同盟締結断固反対の山本を暗殺しようとする強硬派がおり、山本を連合艦隊司令長官に」という説もあります。

つまり、「山本を、国内から海上へ避難させるために、連合艦隊司令長官に任命した」という説です。

猛烈な勢いのドイツは、文字通りヨーロッパを席巻していました。

大英帝国除く、ヨーロッパ大陸がドイツおよび同盟国(枢軸国)になったかのような状況となっていました。

1941年ヨーロッパ戦況地図(連合艦隊 勃興編上巻 世界文化社)

残るは事実上、英国のみです。

Winston Churchill英首相(Wikipedia)

英国では英首相チャーチルが徹底抗戦を叫び、断固交戦しますが押され気味となります。

Churchill

ヒトラーは、
民主主義の敵だ!

Churchill

わが大英帝国が、
ドイツに負けてたまるか!

Churchill

だが、
ドイツは強い・・・

Churchill

奴らは
強すぎるのだ・・・

日本は南部仏印へ進駐し、米国との緊張関係がエスカレートしました。

いよいよ「米国との戦争」が現実味を帯びてきます。

Franklin Roosebelt米大統領(Wikipedia)
Roosebelt

Japanは、
北部仏印に進駐した、だと?

Roosebelt

Japanとの
戦争は避けられんな・・・

Roosebelt

次のJapanの
動きは何だ・・・

連合艦隊司令長官 山本五十六は米国に勝つ方法を考えます。

山本五十六

米国は資源も豊富で、
経済力・工業力も日本のはるかに上まわる・・・

山本五十六

米国に勝つのは、
至難の業だ・・・

山本五十六

米国に勝つには、緒戦で米軍に大打撃を与え、
米国民を意気消沈させるしかない!

山本五十六

そして、早期和平に持ち込む他に
日本が生き残る道はない・・・

攻撃の標的は日本にとって米海軍最前線基地であり、米海軍太平洋艦隊の基地であったハワイしかありません。

山本五十六

米国に勝つのは難しいだろうが、
いっちょやってやろう!

山本五十六 連合艦隊司令長官は、大いに意気込みました。

奇襲攻撃の実施計画推進者:大西瀧治郎と源田実

大西瀧治郎 第十一航空艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

そして、航空畑の大西瀧治郎・源田実たちに真珠湾攻撃の実施計画策定を命じます。

山本五十六

ハワイ米太平洋艦隊を、
奇襲・撃滅する計画案を練ってくれ。

山本五十六

航空機を主軸とした空母打撃群で
やるのだ!

大西瀧治郎

承知しました。
源田と考えます。

源田実 第一航空参謀(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

しかし「言うは易く、行うは難し」。

そもそも軍事力も技術力も上の米国の海軍本拠地に、日本海軍艦隊が近づくことすら困難を極めます。

さらに「気づかれないようにこっそりと近づいて奇襲」するという、「とんでもない作戦」でした。

源田実

困難を
極める作戦です・・・

大西瀧治郎

流石にこれは
不可能なんじゃないか・・・

大西ら実施案を検討する海軍士官は、途方に暮れてしまいました。

山本五十六

これしかない・・・
米国に勝つには・・・

山本五十六

あの強力すぎる米国に勝つには、
常軌を逸した作戦しかない・・・

その一方で、山本長官は、自らの「真珠湾奇襲攻撃」への信念を日々強めていました。

次回は上記リンクです。

新歴史紀行

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