前回は「戦艦プリンス・オブ・ウェールズの超重大な意味〜戦艦「皇太子」・ナポレオンとフランス帝国・ナポレオンを打ち砕いた大英帝国・日本海軍の「基本中の基本」であった「ネルソン精神」〜」の話でした。
大日本帝国と南方資源地帯:蘭印の莫大な原油求めて
日本(大日本帝国)にとっては、「主に対米戦」とも言える第二次世界大戦。
対米戦開始前から、広大な中国大陸で戦い続けていた大日本帝国。
開戦当初から、米国以外にも英国・フランス・中国・オランダなどと交戦状況になっていました。
日本における認識は、真珠湾奇襲攻撃によって正式に第二次世界大戦に参戦した」感覚が強いです。
桁違いに強力だった米国に完膚なきまで叩かれたため、「太平洋が主戦場」とも考えられます。
そのため、この大戦争は日本においては「太平洋戦争」と呼ばれることも多いです。
そして、海の向こうの米国と対峙した日本。
最後は、米陸海軍と日本陸海軍が太平洋で決戦をし続けて、米国にジリジリと押されました。
そして、米国の圧倒的兵力・物資に押され続けた日本。
そのため、どうしても「日本側の視点」で第二次世界大戦・太平洋戦争を考えると「太平洋中心」になります。
後世から見ると、上の図のような感覚が強い「日本にとっての」第二次世界大戦。
開戦直後は、「米太平洋艦隊の基地ハワイを攻撃した」のですが、上の図のようなイメージが強かったでしょう。
それまで日清戦争・日露戦争を勝ち抜いた大日本帝国にとって、
南方資源地帯を
確保するのだ!
戦争の主眼はアジアの大陸と南方の島々だったのでした。
とにかく「資源が全然ない」国で「資源を外に求めなければならなかった」大日本帝国。
現代では中東の産出が多い原油は、第二次世界大戦時では「米国が世界産出量の2/3」でした。
「圧倒的な量の原油を持つ」米国に対して、「ほとんど原油がない」日本。
軍令部としては、
南方資源地帯確保を最優先して頂きたい・・・
陸海軍共に物資・資源は極めて重要ですが、中でも「重油がなければ艦隊が動かせない」海軍。
海軍軍令部が、「南方資源地帯・油田確保最優先」とするのは、至極当然の発想でした。
そして、「それ以外考えられない」状況でした。
ならば、蘭印を
奪取・占領すれば良い!
蘭印の年間生産量の800万トンの
重油があれば・・・
我が大日本帝国の
年間総需要を賄える!
この発想で、「蘭印占領」を最優先した大日本帝国軍部。
蘭印とは「オランダ領インド」を指し、その途中にあるマレー周辺は「押さえておくべき地域」でした。
どちらの地図においても、「西の端」に位置するマレー。
この地では、日本の対米戦の宣戦布告当初から、陸海軍共に猛烈な戦いが繰り広げられました。
山下奉文司令官と辻政信作戦参謀
陸軍は、後に「マレーの虎」と呼ばれる猛将 山下奉文 司令官が軍を率いています。
俺が陸軍を
率いれば、最強だ!
山下司令官の参謀は、極めて問題の多かった辻政信 作戦参謀でした。
この辻という人物は、実に問題がある性格であり、陸軍にはこの手の人物が多かったのです。
海軍にも「おかしい人物」は存在しましたが、エキセントリックな風土があったのか、陸軍には多く在存在しました。
非常に「自己中心的な性格」で知られる辻参謀。
俺は、
大天才なんだ!
陸軍士官学校を首席卒業し、続いて陸軍大学校を3位で卒業した「恩賜組」の辻。
元々、おかしい性格に加え、成績優秀からの自信過剰が加わり「手が付けられない」存在でした。
「作戦の神様」と呼ばれるほど、切れ者だった辻政信。
勇猛果敢な山下司令官と「極めて優秀だが、ちょっとおかしい」辻参謀のコンビ。
このコンビが、「南方資源地帯奪取」という「大日本帝国の悲願」を果たしに向かったのでした。
小沢治三郎長官と空母がない小沢艦隊:マレーでの陸海軍強力体制
その辻参謀は、海軍を率いる小沢治三郎長官に陳情にきます。
是非とも、
我が陸軍のマレーでの作戦を補佐して頂きたい!
「補佐」ということは「陸軍主体で、海軍は補佐・脇役」ということです。
こういうことを「堂々と言える」時点で、「少しおかしい」のですが、
陸のマレーを攻めるのは、
我が陸軍なのだ!
超傲岸な性格の辻参謀。
対して、小沢治三郎 南遣艦隊司令長官は「大人の対応」をします。
承知した・・・
出来るだけのことをしよう・・・
1902年生まれの辻政信に対して、1886年生まれの小沢治三郎は、16歳年上です。
おそらく、内心は、
小僧が、
勝手なことを言いおって・・・
と考えたに違いない小沢長官。
それでもなお、
海軍は、
陸軍をしっかり補佐しよう!
という小沢長官に対し、
有難う
ございます!
傲岸な性格の辻ですが、16も年上の小沢が「簡単に折れた」ことに、感謝します。
陸軍にとっては、アジア・中国大陸は「主戦場」です。
一方、海軍にとっては、山本長官の視線は完全に米国に向いていました。
大英帝国も
強力だが・・・
なによりも
まずは米国だ!
米国を何とかしなければ
ならん!
大日本帝国海軍の主力は、第一航空艦隊に集中していました。
「空母機動部隊の生みの親」と言われた小沢治三郎南遣艦隊司令長官。
空母はバラバラではなく、
集中運用すべし!
まとめることで、
打撃力が大きくアップする!
ところが、小沢長官には、非常に限られた戦力しかありません。
なんと、空母が一隻もない状況だったのです。
・・・・・
我がGreat Britainの
底力を見せてやる!
そこに、チャーチル肝入りで、大英帝国の東洋艦隊が編成されました。
そして、英東洋艦隊が大挙して大日本帝国に襲いかかってくることになりました。
今はUnited Statesの
後塵を拝しているが・・・
少し前までは、
世界一だったのだ!
次回は上記リンクです。