正直に議会に極大バッドニュースを伝えたチャーチル首相〜大英帝国を襲った強烈な衝撃・パウンド軍令部長からの大悲報〜|Malayの叫び16・マレー沖海戦

前回は「異常な大戦果に熱狂した大日本帝国〜失墜した大英帝国のプライド・海軍の先生=大英帝国に大勝利・「猿真似」から世界三大海軍国へ・幕末の弱小国から一気に世界の強国に躍進〜」の話でした。

目次

大英帝国を襲った強烈な衝撃:パウンド軍令部長からの大悲報

New Historical Voyage
日本の航空隊によって撃沈されたPrince of Walesと駆逐艦による救助(Wikipedia)

大英帝国が満を持して、マレー沖に派遣した英東洋艦隊の旗艦プリンス・オブ・ウェールズ。

Prince of Wales(プリンス・オブ・ウェールズ)

・英国における王位の法定(推定)である王子に与えられる称号

英国民にとって「皇太子」を意味する「プリンス・オブ・ウェールズ」は、特別な意味を持っていました。

いわば、「戦艦皇太子」であり、当時の大日本帝国にとっての「戦艦大和」と同等な存在でした。

ところが、松永司令官率いる航空隊によって、あっけなく撃沈されてしまいました。

後世から見れば、「航空隊の傘」がない状況で「戦艦が勝てるはずがない」戦いでした。

ところが、当時はまだ「戦艦中心」の考えでした。

新歴史紀行
Winston Churchill英首相(Wikipedia)
Churchill

我がPrince of Walesを
Malayに派遣して、Japanを叩くのだ!

元々は陸軍士官でありながら、海軍大臣を務めた経験があるチャーチル首相は、

Churchill

我がUnited Kingdomこそが
世界一の海軍なのだ!

英海軍に対する大いなる自負を持っていました。

そこへ、パウンド英海軍軍令部長(総長)から電話が鳴りました。

Churchill

なんだ、
誰からの電話だ?

「吉報を待っていた」チャーチルの元には、「悲劇」が伝えられることになりました。

New Historical Voyage
Dudley Pound英海軍軍令部超(総長)(Wikipedia)
Pound

Churchill首相・・・
・・・・・

Churchill

なんだ、Poundよ・・・
何を言っているか分からんが・・・

Pound

Churchill首相・・・
Prince of WalesがJapanに撃沈されました・・・

Churchill

!!!!!

Pound

Repulseも
Japanに撃沈されました・・・

Churchill

!!!!!

Pound

Tom Phillips長官は
戦死しました・・・

Churchill

!!!!!

Churchill

ま、
間違いないのか・・・

全く想定外の報告に、しばし呆然としてしまったチャーチル首相でした。

正直に議会に極大バッドニュースを伝えたチャーチル首相

英戦艦 Prince of Wales(Wikipedia)
Churchill

あの
Prince of Walesが・・・

英東洋艦隊司令長官 Tom Phillips(Wikipedia)
Churchill

そして、
Phillips長官までも・・・

あまりの衝撃に「ショックを超えた極大ショック」を受けたチャーチル首相。

受話器を置いたチャーチルは、

Churchill

・・・・・

完全に思考停止となってしまい、その日は誰にも会いませんでした。

若い頃から、強気で鳴っていたチャーチルでしたが、

Churchill

なんということ・・・
こんなことが起きるのか・・・

「想定のかけら」もしてなかった事態に、我を失ってしまいました。

後に、「第二次世界大戦回顧録」において、

Churchill

戦争の全期間を通じて、
これ以上の打撃を受けたことはなかった・・・

このように「当時の心情を正直に吐露」したチャーチル。

ところが、「鋼鉄の精神を持つ男」であったチャーチルは、一晩休んで、堂々と下院議会に臨みました。

1941年12月10日(現地時間)に、下院に出席したチャーチルは、

Churchill

私は諸君にバッドニュースを
伝えなければならない・・・

Churchill

私の生涯において、英海軍が
このように苦痛に満ちた重大な打撃を受けたことはない・・・

Churchill

Prince of WalesとRepulesが
Japanの航空隊に沈められた、と報告が入った・・・

誰も想定していない展開に、議会は紛糾しました。

英下院議員P

な、なんだって?!
そんなバカな!

英下院議員Q

それは、Churchill首相の
作戦指揮に問題があったのでは?

米大統領ほどではなくても、大日本帝国と異なり、かなり強い作戦権限を持っていたチャーチル。

実際に、Prince of WalesとRepulesをマレーに派遣する決断をしたのは、チャーチルでした。

英下院議員P

護衛戦闘機もつけずに、
なぜPrince of Wales出動させたのですか?

厳しい質問が相次ぐ中、

Churchill

・・・・・

英下院議員Q

Churchill首相の
信任に問題があるのでは?

Churchill

ならば、私の
信任投票をしてもらおうではないか!

戦う男・チャーチルは「自らへの信任投票」で応じました。

英下院議会

Churchill首相への
信任票46、不信任票1です!

そして、「47人中46人の信任を得た」チャーチルは、

Churchill

この巨大な落胆も、
私に新たな勇気をもたらすのだ!

気持ち新たに、戦争指揮に臨みました。

正直に議会に「極大バッドニュース」を伝え、堂々と「議会の信任を得た」チャーチル。

大英帝国は、マレーでの悪夢から再起を図ろうとしていました。

次回は上記リンクです。

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