山本長官の命令無視を決定した南雲長官〜どうでも良いウェーク島攻撃・怒り心頭の闘将山口多聞司令官・加来止男飛龍艦長の提言・第二航空戦隊のみの攻撃〜|真珠湾奇襲攻撃75・太平洋戦争

前回は「「世界のYamamoto」の巨大な存在感〜冷静極まりない米政府と米軍首脳部・ルーズベルト大統領の思惑・Nagumoの腹を探るキング司令官〜」の話でした。

目次

山本長官の命令無視を決定した南雲長官:どうでも良いウェーク島攻撃

左上から時計回りに、山本五十六 連合艦隊司令長官、南雲忠一 第一航空艦隊司令長官、草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長、山口多聞 第二航空戦隊司令官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社、歴史群像シリーズ 図説・戦国武将118 学研、Wikipedia)

機動部隊は、続けてミッドウェー島を
攻撃せよ!

という命令に対する対応に関して、逡巡し続ける赤城司令部の南雲長官と草鹿参謀長。

私たちに、こんな「ついでの作戦」を
指示することは・・・

横綱破った
大関に・・・

帰りに「八百屋で大根買ってこい」と、
言うようなものだ!

草鹿参謀長の
いう通りだ。

ここで、ミッドウェーを攻撃したら、
我が空母が反撃を受けるだろう。

草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

長官!
内地へ急ぎ帰投しましょう。

南雲機動部隊のハワイ奇襲攻撃の航路図(歴史人2021年8月号 ABCアーク)

連合艦隊司令部の命令を
全て無視は出来ないので・・・

一部の艦隊を分派して、
ウェーク島を攻撃します。

うむ・・・
そうだな・・・

よしっ!
主力は内地へ戻るぞ!

怒り心頭の闘将・山口多聞司令官

山口多聞 第二航空戦隊司令官(WIkipedia)

本当に、ミッドウェーを
攻撃しないのか?

本当に、
このまま帰るのか?

赤城司令部は、ウェーク島を
攻撃する模様です。

何っ!
ウェーク島だと?

ウェーク島など
攻撃して何になる?

大事なのは、
米海軍の根幹を叩くことだ!

ミッドウェーの方が、
米海軍にとって、はるかに大事なのだ!

第二航空戦隊 空母蒼龍(Wikipedia)

草鹿よ、
お前は一体何を考えているのだ!

怒り心頭の山口司令官。

加来止男飛龍艦長の提言:第二航空戦隊のみの攻撃

加来止男 飛龍艦長(Wikipedia)

山口司令・・・
司令のお考えは正しいと考えます・・・

飛龍だけでも、
ミッドウェーを攻撃してはいかが?

連合艦隊司令部の命令が、
出ているのです・・・

「独断」には、
当たらないでしょう・・・

思いがけない加来艦長からの提案に対して、

ふむう・・・

たしかに
そうだ・・・

じっくりと考える山口司令官。

一方で、指揮系統上、山口司令官は第一航空艦隊司令部の指示に従わなければなりません。

いざとなったら、
私が責任取ります・・・

我が二航戦(第二航空戦隊)のみで、
攻撃か・・・

・・・・・

第二航空戦隊 空母飛龍(Wikipedia)

おそらく、ミッドウェー島の
米軍守備隊は・・・

我が軍に対する迎撃準備が、
全く出来ていないでしょう・・・

場合によっては、
飛龍の攻撃隊のみだけでも、十分な戦果があるでしょう・・・

歴戦の将軍である加来艦長の読みは、正しかったのです。

飛龍の攻撃隊から10機ほどの爆撃機が出てゆけば、ミッドウェー島に大きな打撃を与えられそうです。

私と加来は、
罰せられても良い・・・

だが、この大戦果の中、
奮闘した飛龍の部下たちが避難されるのは・・・

それは
辛い・・・

ここで、山口司令官は諦観しました。

連合艦隊司令部の命令が
あるが・・・

我らは第一航空艦隊に従う
第二航空戦隊だ・・・

一航艦(第一航空艦隊)の
命令には従おう・・・・・

それが、
それが軍人の務めだ・・・

苦渋に顔を歪める山口司令官でした。

海軍兵学校卒業期名前専門役職
32山本 五十六航空連合艦隊司令長官
36南雲 忠一水雷第一航空艦隊司令長官
38三川軍一水雷第三戦隊司令官
40宇垣 纏大砲連合艦隊参謀長
40山口 多聞航空第二航空戦隊司令官
41草鹿 龍之介航空第一航空艦隊参謀長
42加来 止男航空飛龍艦長
連合艦隊幹部の専門・役職・海軍兵学校卒業期(1941年12月)

それは、まるで「自分に言い聞かせる」ように話していた山口司令官。

この時点では、山口司令官も南雲長官も草鹿参謀長も夢にも思いませでした。

この時の「ミッドウェー攻撃断念」が、まさか半年ほど先に悪夢となることを。

山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

南雲は、
ミッドウェーを攻撃するだろうか・・・

この時も、「微かな期待」を持って「戦果拡大の報告」を待っていた山本長官でした。

新歴史紀行

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