揺れる真珠湾奇襲攻撃のゆくえ〜「途中で引き返す」可能性を厳命した山本長官・ハルノート・日本が絶対受け入れられない条件・もはや「待ったなし」の緊迫状況のフィリピン・奮うマッカーサー〜|真珠湾奇襲攻撃16・太平洋戦争

前回は「緊迫する日米交渉と米国の思惑〜東條英機総理大臣誕生・昭和天皇からの下命・近衛文麿の無念・チャーチル英首相が切望した米国参戦・ルーズベルト大統領の公約と米国民の考え〜」の話でした。

目次

揺れる真珠湾奇襲攻撃のゆくえ:「途中で引き返す」可能性を厳命した山本長官

山本五十六 連合艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

御前会議の結果「日米交渉がまとまらない場合、米国へ先制攻撃」が決まります。

真珠湾奇襲攻撃に、並々ならぬ決意を持っていた山本長官。

やはり可能であれば、
米国との戦争は避けたい・・・

正直なところ、
日本の勝ち目は少ない・・・

南雲忠一 第一航空艦隊司令長官(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

真珠湾奇襲攻撃実行舞台である空母機動部隊引き入る南雲忠一 第一航空艦隊司令長官。

択捉島付近に艦船を集結させ、一気に全艦隊を率いて真珠湾へ攻撃に向かう予定となります。

艦隊が攻撃準備を整えて、真珠湾へ攻撃に向かう途中も日米交渉は続けられます。

米国との戦争を避けたい山本長官は、南雲長官に命じます。

日米交渉妥結の場合は、
途中で艦隊を引き返すように!

草鹿龍之介 第一航空艦隊参謀長(連合艦隊司令長官 別冊歴史読本 新人物往来社)

これに対して、南雲長官も草鹿参謀長も反駁します。

「行け」と言ったと思ったら、
「止まれ」なんて・・・

そんなこと
出来るわけないでしょう!

海軍兵学校卒業期名前専門役職
32山本 五十六航空連合艦隊司令長官
36南雲 忠一水雷第一航空艦隊司令長官
37小沢 治三郎航空南遣艦隊司令長官
40山口 多聞航空第二航空戦隊司令官
41草鹿 龍之介航空第一航空艦隊参謀長
連合艦隊幹部の専門・役職・海軍兵学校卒業期(1941年9月)

上下関係の厳しい軍にあり、全員が同じ学校・海軍兵学校を仲であった当時。

ある意味では、「本音が話しやすい仲」でありました。

元々気性の荒い南雲司令長官。

出掛けた小便を途中で止めろ、
というもんだ!

一体、
何考えているんだ!

こういう決して上品ではない言い方は、山本長官は好みません。

だから、南雲ではなくて、
別の人間を長官にしたかったのだ・・・

内心悔やみますが、もうどうにもなりません。

反論する南雲長官・草鹿参謀長に対し、山本長官は再度厳命します。

日米交渉妥結の際は、
必ず引っ返してこい!

出来ないと言うなら、
今すぐに辞表を出せ!

これに対して、南雲長官も草鹿参謀長も反論しようもありません。

分かりました。
交渉妥結の際は、必ず引っ返します・・・

はい、
お任せ下さい!

ハル・ノート:日本が絶対受け入れられない条件

Cordell Hull米国務長官(Wikipedia)

1941年11月26日に、いわゆる「ハル・ノート」が米国側から提示されました。

Japanは
Chinaから全面撤退して・・・

Asiaに広がった
占領地域を手放しなさい!

内容は「中国からの日本の撤兵」等、日本側が到底受け入れられない内容ばかりでありました。

なぜ、米国は
こんな苛烈な条件をつけてくるんだ?

悩む日本の外務省。

ただし、重要なことは「交渉期限を切っていない」ことでした。

すなわち、対応は「日本次第」でした。

さて、Japanは、
どう出てくるか・・・

東郷茂徳 外務大臣(Wikipedia)

東郷茂徳外務大臣と日米交渉担当者の野村駐米大使。

昭和天皇からの命令もあり、

出来るだけ
日米交渉妥結させたい・・・

懸命に交渉を続けます。

もはや「待ったなし」の緊迫状況のフィリピン:奮うマッカーサー

Franklin Roosebelt米大統領(Wikipedia)

ルーズベルト大統領は、日本の出方をじっと見ていました。

Japanが、
全面的に降参すれば良い。

まあ、
しないだろうが。

そして、陸軍を統括するスティムソン陸軍長官。

Henry Stimson陸軍長官(Wikipedia)

フィリピンのマッカーサー司令官に命じます。

いよいよ、
Japanからの攻撃に備えるように!

Douglas MacArthur陸軍元帥(wikipedia)

米海軍もまた「日本海軍の真珠湾への攻撃」に備えます。

日本を侮っていたマッカーサー元帥。

Japanの陸軍がこちらを攻めてきたら、
この俺がいるんだから、撃退してやる。

Japanの海軍ごときが、
真珠湾のUSの海軍基地を攻撃したところで、

我がUSの強力な海軍に、
Japanが反撃されるのがオチだろう。

Japanの軍など、
大したことはないのだ。

もはや、事態は待ったなしとなっていました。

新歴史紀行

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