西南戦争の政府軍名コンビ・谷干城と児玉源太郎〜挙兵した「明治維新のスーパーヒーロー」西郷隆盛・西南戦争での経験を日露戦争で活かした児玉〜|幕末維新

前回は「近世を葬った男・西郷隆盛〜幕末の諸外国との折衝・不平等条約を強行したハリス・幕末に颯爽と登場した西郷と大久保・よく分からない西郷という人物」の話でした。

目次

挙兵した「明治維新のスーパーヒーロー」西郷隆盛

陸軍大将 西郷隆盛(国立国会図書館)

今回は、西南戦争における政府軍側の陸軍軍人「谷干城と児玉源太郎」を取り上げます。

明治政府内で、いわば内輪揉めをした結果、西郷隆盛・板垣退助らが下野します。

そして、ついに「明治維新のスーパーヒーロー」西郷隆盛が、挙兵します。

日本最強の
我が薩摩軍だ・・・

西南戦争においては、当時日本に6箇所しかなかった「日本陸軍の軍事拠点」とも言える鎮台。

新歴史紀行
明治新政府の六鎮台(新歴史紀行)

その一つであった熊本鎮台=熊本城で、薩軍を阻みます。

日本最強の
我が薩摩軍だ・・・

我が薩摩軍ならば、
熊本城を抜くことくらい、容易いこと・・・

当初、西郷隆盛は、熊本鎮台を甘く考えていたでしょう。

しかも、鎮台兵の多くは、士族ではなく徴兵された兵でした。

桐野利秋 前陸軍少将(Wikipedia)

事実上、薩軍を指揮していた桐野利秋前陸軍少将。

熊本城など、すぐに
落城させてみせるわ!

士族でなかった連中など、
我が薩摩隼人の敵ではないわ!

薩摩軍の多くの軍人も同様に、かなり強気だったでしょう。

西南戦争の政府軍名コンビ・谷干城と児玉源太郎

熊本鎮台司令長官 谷干城(国立国会図書館)

しかし、意外なことに「抜ける(陥落させる)はず」の熊本鎮台は非常に頑強でした。

「日本最強」であるはずの薩摩軍が、熊本鎮台には勝てません。

な、
なぜだ・・・

こんなはずでは、
なかった・・・

熊本鎮台で司令長官として指揮を執っていたのは、土佐藩出身の谷干城でした。

前参議 板垣退助(国立国会図書館)

同じ土佐の乾退助(板垣退助)とともに、主に土佐藩士を率いて討幕に大きく貢献した非常に優秀な陸軍軍人です。

谷は、板垣同様に非常に「熱い男」で、新政府軍の方針に反感を持っていました。

新政府のやり方に、
面白くないことは、たくさんある・・・

しかし、それと
鎮台司令長官としての立場は別!

薩軍を
叩き潰せ!

西南戦争では反政府軍の西郷・薩軍に徹底的に抗戦します。

超強力な薩軍から熊本鎮台を防衛したのは谷の軍事能力の高さを示します。

児玉源太郎 熊本鎮台准参謀(国立国会図書館)

また、谷を補佐したのが准参謀だった児玉源太郎でした。

私がいる限り、
熊本鎮台は抜かせん!

若い頃から非常に優秀で、将来を嘱望されていた児玉源太郎。

児玉は、長州藩の支藩:徳山藩出身です。

長州藩ではないので、身分的には軽かったものの、その明晰さから新政府側から、非常に重視されていた児玉。

薩軍に熊本鎮台が攻撃され、児玉が陸軍少佐として籠城した際、「児玉に何かあっては、大変困る」と心配した政府幹部。

児玉少佐は
無事か!

と、現地へわざわざ問い合わせた逸話もあります。

児玉少佐に何かあっては、
日本国家の損失!

と明治政府幹部が考えるほど「優れた頭脳を持っていた」のが児玉源太郎でした。

「歴戦の闘将であった谷干城+極めて優れた頭脳を持つ児玉源太郎」のコンビは、最強でした。

西南戦争での経験を日露戦争で活かした児玉

西南戦争(Wikipedia)

薩軍相手に死闘を続け、奮戦した児玉陸軍少佐。

流石に薩軍は
大変強力であった・・・

政府側が大量の
武器弾薬を持っていたから勝ったものの・・・

実際は、
かなり危ない戦争であった・・・

西郷軍政府軍
兵力(人)約30,000名約90,000名
戦死者(人)約6,800名約6,400名
西南戦争の兵力と戦死者数

武器弾薬と軍資金で「政府より遥かに劣る」上に、兵力は政府軍の1/3ほどであった西郷軍。

本来ならば、「あっという間に鎮圧されてしまう」はずでしたが、そこはやはり「日本最強の薩摩隼人」たちでした。

なんと、死者の数において政府軍とほぼ同数となり、数少ない銃弾・軍資金の中、猛烈なパワーを見せつけました。

西南戦争での
戦争経験は基調であった・・・

その時の経験を活かして、台湾総督・陸軍大臣などを務め、日本政府の中心人物の一人となります。

さらに、日露戦争では満州軍総参謀長として、日本陸軍よりも強大なロシア陸軍撃退を主導します。

西南戦争は「維新の立役者の一人」である西郷が賊軍となってしまう、非常に大きな内乱でした。

西南戦争(Wikipedia)

そして、この時の経験が多くの軍人とって、後の日清・日露戦争で活かされたのでした。

新歴史紀行
日露戦争(Wikipedia)

日露戦争では、
西南戦争で得た教訓を活かすのだ!

若き日に「西郷隆盛+薩摩軍」という世界最強ランクの将兵と激戦を繰り広げた児玉源太郎。

その時の経験が、世界最強であったロシア陸軍との死闘に活かされました。

「西南戦争での経験」を有した児玉源太郎の奮戦もあり、格下であった日本は、ロシアに辛勝したのでした。

新歴史紀行

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